海外の高齢化の現状
2020/01/09
日本では、既に10以上前にあたる2007年には高齢化率が21%を超えていて、超高齢社会に突入しています。しかし、日本だけが突出して超高齢社会になっているだけでなく、多くの先進諸国が抱えている共通の課題と言える状況です。各国の高齢化率を考えていきましょう。
世界の高齢化率における状況とは
前述した通り、日本はすでに超高齢社会に突入しています。また、日本だけではなく、多くの先進諸国が高齢化率上昇の問題を抱えています。以下は、2018年時点の各国の高齢化率です。
1位:日本 27.58%
2位:イタリア 22.75%
3位:ポルトガル 21.95%
4位:フィンランド 21.72%
5位:ギリシャ 21.66%
日本を筆頭に、世界に先立って超高齢社会を迎えています。しかし、2位以下の国においては、高齢化社会から高齢社会に至るまでに50年、80年という長い期間をかけて推移しているのに対して、日本はたった20年程度という世界でも類を見ない速さで高齢化に突入したからも対策や動向が世界から注目されています。
高齢化社会を生み出す要因とは!?
高齢化率の上昇を語る上で、少子化というキーワードは無視できないポイントです。高齢化率を算定する際に、高齢者が増加してもその他の世代人口が一定数キープされていれば、高齢化率の上昇を防ぐことができます。しかし、深刻な高齢化問題を抱えている上記のような国では、少子化問題も際立っています。よって、65歳以下の人口が減少していることに加え、医療の発達が進み平均寿命が延びたこともあり、急速な高齢化が進んだと考えられます。また、少子化の原因としては、未婚、晩婚、晩産化が進んだためと言われています。日本を含む多くの先進諸国では女性の社会進出にともない、結婚、出産以外にも女性にとっての幸せの選択肢が多様化しています。女性も仕事に就くことで、晩婚、晩産の傾向が強まり、女性が生涯で出産する子どもの人数も少なくなったことが、ひいては高齢化のスピードを加速させてきたと考えられます。
そこで、ヨーロッパ諸国では、この少子化問題を解決すべく社会保障政策が確立され、高齢化率の急激な上昇を阻止し、高齢化、少子化共に緩やかな上昇に留めることができています。一方、日本では景気の不安定さから、若年層において非正規雇用やフリーターが増加しています。ワーキングプアという言葉が生まれたように、正規雇用であっても薄給であるという経済的な不安定さから結婚に踏み切ることができない男女が増加したこと、また、核家族化が進んだことにより親世代に育児のサポートを期待できない家庭が増えたこと等、これらの社会不安もまた少子化に拍車をかけていると考えられます。
高齢化の先にはどのような未来が待っている?
高齢化が進むとどのような問題点が考えられるでしょうか?・増税
・社会保障、医療保障などの削減
・経済の弱体化
・高齢者の貧困化
高齢化が進むと、今よりも少ない人口(15歳~64歳の働くことができる生産年齢の人口)で1人の高齢者を支えなければなりません。これは、すなわち増税につながることとなるでしょう。
例えば、高齢化率世界3位のドイツでは、2025年時点の総人口における生産年齢は63%、高齢者は23%であることから、10年後にはおよそ2.8人で1人の高齢者を支えていかなければならなくなります。そして高齢化率世界第1位の日本の10年後はどうなるかと言うと、1.87人で1人の高齢者を支える時代と予想されています。
このように高齢化が進んだ各国では、結婚適齢期である若年層においても給与から徴収される税金が増え、生産年齢の減少により国の財政が圧迫されるため各種社会保障費が削減され、何をするにも今よりも出費がかさみ、ますます結婚も出産も遠ざかる・・・そんな悪循環が生まれ、不遇の時代を生きなければいけない可能性があるのです。また、十分な社会保障を受けることができなくなることや、年金額の引き下げ等によって、運用できる資産が少ない一部の高齢者は厳しい生活を強いられる可能性も出てきます。
高齢化対策には何が必要?
高齢化対策は少子化対策と言っても過言ではありません。総人口における生産年齢人口を確保することにより、高齢化率を緩和させることができるため、アメリカやドイツ等では、歴史的に移民の受け入れを行い、これらを推進することで労働人口を確保する努力をしています。しかし、そういった歴史の乏しい日本においては、海外からの労働者の受け入れは、政府がよほど大胆な政策を打ち出さない限り大きな効果は期待できないのではないでしょうか。やはり、生産年齢人口を増大するためには若年層にも安心して結婚、出産を選択してもらえるような社会環境を整える取り組みが急務であると言えるでしょう。
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