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第1回 ワークショップ型セミナー“ソーシャルグッドコラボ” 開催レポート

2016/02/03

セミナータイトル:『 経営×住生活空間創造×高齢者ビジネス 』
Guest:下河原忠道 氏 [式会社シルバーウッド 代表取締役社長]

 

ソーシャルサービス領域で活躍されている様々な方をゲストに招き開催するワークショップ型セミナー “ソーシャルグッドコラボ”。記念すべき第1回目は、薄板軽量形鋼造事業およびサービス付高齢者住宅“銀木犀”事業を展開する株式会社シルバーウッドの代表取締役社長 下河原忠道氏に登壇いただきました。破天荒で魅力的な下河原氏のキャリアを含め開催内容をレポートします。



▼第一部:トークセッション
ファシリテーターとして招聘した“未来をつくるkaigoカフェ代表 高瀬比左子氏”とのトークセッション形式で、下河原氏のこれまでのキャリアを当時の写真をベースに振り返り、変遷を辿りながらトークを展開いただきました。

■渡米~会社設立まで
鉄鋼業を営む父親の会社でキャリアをスタートし日々業務に励む一方で、独立起業の想いを強くする。起業ビジネスを模索する中で、木造建築が主流であった当時の日本とは違い、“リサイクル”を重視したアメリカのスチール建築を知ることになり、これを専門的に学ぶ為に渡米を決意。陽気な街L.A.を選択する。現地では屈強な米国人達と共に建築現場で働きながらスチール工法を学ぶ。

帰国後まもなくして、米国でスチールフレーミング工法の呼び名であった“シルバーウッド”を社名に二人の友人と会社を設立し代表に就任。スチールパネル工法での特許取得を志す。様々な障壁(建築基準やコスト等)を堅実な研究開発力と持ち前の胆力で乗り切り、特許取得に至る。その過程における現場でのテント生活話ほか数々のユニークな実話をもとに語って頂きました。

■高齢者住宅事業への進出

建物の軽量化や工期短縮、材料費削減の強み、そして地道な営業活動やメディア戦略の結果、数々のコンビニやファミレスの建造受注に成功する。そして共同住宅需要の流れとみるや迅速に住宅メーカーやディベロッパーにOEM供給事業を展開する。その最中に高齢者住宅の建造に関わることになる。

今後の日本において、高齢者住宅の需要は計り知れず、そして高齢者サービスそのものが一大産業になると捉えて本格的な事業参入を志す。国内の高齢者住宅・施設はもとより、先進国である欧州各国やアメリカ、東南アジア等に赴きリサーチをおこなう。アポなしの際は、現地での直接交渉や知り合った人達からの紹介で見学する突撃訪問的なリサーチもあったそうです。

 
■施設ではなく“楽しく暮らせる住宅”を
世界を周り、日本を見渡すと、日本の高齢者住宅・施設が“住み心地”よりも“安全性”、“楽しく暮らしてもらう”ではなく“管理する”という実情を目の当たりにする。“これでは誰も幸せにはならない”と痛感し、自らで理想の高齢者住宅づくりをスタートする。構造はもとより、内装全般、椅子1脚にも可能な限りこだわり、そして「銀木犀」が誕生する。

そのこだわりは建物・内装といった空間だけでなく、生活時間等の環境面にも及んでいる。産学連携で開発された“ドラムコミュニケーション”、いずれは青山のインテリアショップで販売すると意気込む“クラフトワーク”そしてプロが参加して一緒に楽しむ“ダンスコミュニケーション”等と聞いているだけで参加したくなる様々なプログラム(銀木犀ではレクリエーションとは呼ばない)を展開している。

そして地域交流を創り出す演出も際立っている。自然が感じられる落ち着いた生活空間の演出として内装全般には“ひのき”を使用しているが、一方で高齢者は“都会の喧騒も欲している”と下河原氏は語る。年中開催される様々なお祭りや各種体験プログラムは地域住民も参加対象としたものも多く、建物内に設置されている駄菓子屋(入居者が店番)においては、学校帰りの小学生が多く訪れるなど、とにかく年中忙しく活気があるそうだ。

■日本のサービスは“世界標準”になる

前述した様々な取り組みは、アジア太平洋地域の高齢者イノベーションアワードで最優秀賞の受賞という形で最高の評価を受けており、今日では海外からの視察団も、銀木犀に見学にくるそうだ。そして下河原氏はこう語る。

「日本の高齢者サービスは慈善事業色が強いが、自分は慈善事業をやっているつもりはない。社会貢献を考えながらも、しっかりと収益を上げる“ビジネス”として事業をおこなっている。そして日本のサービスレベルは世界一であり、いずれは世界に輸出できる一大産業に成長する。まだまだ歴史は浅いがその可能性は無限大だ。」




▼第二部:グループワーク
「商店街のある一画に高齢者を対象としたサービス拠点をつくる」を課題(詳細設計は省略)にグループワークを実施しました。約50分のワークの後、各チームがカタチにしたアイデアの一部を紹介致します。
 

ワーク発表 (一部抜粋)
・高齢者が工作した品物を販売するフリーマーケットを展開する。足湯等も設置。
・高齢者ほか周辺住民が参加できるアトリエ・ワークショップスペースを展開する。
・地域高齢者が主役となり参加するの様々なお店を日替わり、週替わりで展開する。
・高齢者で運営する日本の文化や慣習を伝えるカルチャースクールの展開する。
・地域に住まう外国人や大学生等、職人を講師に高齢者が学べる塾を展開する。
・高齢者が子供を見守る学童施設、自警団を創設する。 
・高齢者が高齢者に発行する回覧板、フリーペーパー制作拠点とする。

最後に総評として下河原氏より下記メッセージをいただきました。

「多様な人々が集まる開かれた環境、年代を越えた地域交流、教え学びあう環境、高齢者が役割をもって主体的に活動する拠点など、具体的かつ夢にあふれた様々なアイデアに脱帽です。アイデアを出し合っている姿勢に涙しそうになりました。全部事業化したいぐらいの良いアイデアでした!」

 

参加学生の感想・(一部抜粋)

・今まで高齢者サービスについて考える機会はほとんどなかったけれど、誰にでも関係のあることであり、自分も参加できるということを実感できました。
・高齢者ビジネスにはマイナスなイメージがあったけど良い意味でイメージが壊された。
・様々な分野が交わり、それぞれの分野の特色が生かされることで、新しい可能性が生まれることを実感した。
・社会福祉を専攻している分、ついつい専門的な知識や問題点などのせまい部分ばかりを見て考えがちだったが、もっと気楽に力を抜いて視野を広くもつことも大切だと気づくことができた。
・異世界として考えてしまっていた自分に変化、興味がうまれました。
・高齢者サービスの業界はもっと改善の余地のある、面白い分野であり、夢とロマンを感じた。
・常識や標準の“外”に眼をむけることがとても大切であると感じた。
・仕事とはこだわりをもってとりくみ、自分自身も楽しむことであると感じた。
・下河原さんは社会貢献事業としてだけでなく、収益も考えたビジネスとしてやっているスタイルが潔くてかっこ良かったです!働きたくなってしまいました!

尚、本セミナー終了後に、後日参加した学生が“銀木犀”に取材に行っております。そちらもどうぞご覧ください!
【サ高住「銀木犀」から学ぶ新たな社会】

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