福祉業界におけるIoT・ICTの最新を知る
2020/01/09
通信技術の発展と共に医療・介護業界で活躍する様々なロボットが、急激に増加しています。IoT・ICTの進歩とともにロボットをコントロールする技術が進化を続けています。超高齢社会の日本において、人手不足や介護負担軽減といった課題の解決に、重要な存在となる介護ロボットとは何か、解説します。
介護負担を軽減する介護支援型ロボット
まずは、介護する側を支援する介護支援型ロボットですね。このロボットは、移乗・入浴・排泄などの介護業務を支援する目的で開発されています。中でもマッスルスーツやHALは有名です。マッスルスーツはコンプレッサや背中のタンクから空気を送ることで人工筋肉を収縮させ、動作補助を行い腰の負担を軽減しています。装着のしやすさ、作業者の呼気や吸気をマウスピースに通すことで操作を行うなどの工夫が進んでいます。重さについて言えば、標準型で4~5kg程度です。
一方、HALは動きをアシストしたり普段より大きな力を出したりすることが可能です。動作するときに脳から出される信号をHALのセンサーがキャッチして、パワーユニットが作動する仕組みになっています。病院や介護施設向けの介護支援用となっている標準サイズは2.9kgと扱いやすい重さです。こちらも腰に負担のかかりやすい介護動作が楽に行えるようになっています。どちらも医療・介護分野での活用が進んでいます。
一人でできることを増やせる、自立支援型ロボット
前述とは異なり、介護を受ける側の自立支援型のロボットも注目されています。他人に迷惑を掛けたくないといった、介護される側の視点からこの分野もどんどん進歩を続けています。このロボットは、主に歩行やリハビリ、食事、読書などの自立を支援する内容になっています。
代表的なものとして、ロボティックベッドが挙げられます。ロボティックベッドは、ベッドが真ん中から二つに割れ、片方の背中が持ち上がりクライニング型の車椅子となるものです。人の手を借りずに離床できる機能で、活動範囲の拡大に期待ができます。
また、先に挙げたHALは、介護される側にも力を発揮するのも特徴のひとつです。たとえば、歩けない方がHALを装着し、歩きたいと思うと脳から信号が出されます。これをHALのセンサーが感知してパワーユニットが作動して、歩行を介助します。さらには「歩けた」ことを脳が感じることによって、信号の出し方を学習させる狙いもあります。リハビリテーションの一環としても、医療・介護分野での導入が進められています。
コミュニケーション・セキュリティーに力を発揮するロボット
直接、介助しなくても力を発揮する技術の応用として癒しや見守りといった内容で力を発揮するのが、コミュニケーション・セキュリティー型ロボットです。Pepperをはじめ、同じタイプのPALROやPalmiがすでに介護施設などで力を活躍しています。声を掛けると振り向き近づいてきたり、相づちや話題提供で会話を膨らませることが出来ます。歌ったり踊ったりも勿論可能なので、レクリェーションを盛り上げるのも上手です。
在宅介護での活躍が期待されるBOCCOは、外出先からスマートフォンで送ったメッセージを音声に変えることが可能です。そのため、自宅にいる利用者とその家族がやりとりできるようになっています。また、玄関の開閉の振動もキャッチし家族に知らせ、セキュリティー面でもサポート可能です。ぬいぐるみ型のPaloは、アニマルセラピーに代わるロボットとしても注目を集めていて、その効果はギネスでも認定されています。医療・介護施設などで取り入れられ、主に自閉症の子どもたちや認知症の方のセラピーに効果を上げています。
導入企業も増えてきた!医療・介護技術の今後は・・・
人を介さずに介護することに対して批判的な考えの方もいるかもしれませんね。勿論、効率化にばかり目がいっているのでは、といった声もあるかもしれません。しかしロボットのサポートで介護する側の身体的負担が軽減すれば、質の高い介護を継続して提供できるのが実際です。また、「誰かに頼らなければならない」という介護される側の精神的負担の軽減にもつながることも十分に考えられます。
実際、現場においては、これらのロボットは成果を挙げており、介護や関係機関の方々で行われるワークショップなどでも、医療・介護用ロボットなど、IoT・ICT技術の活用について取り上げられることが増えてきました。介護する側とされる側、両方の心身の負担を軽減できる医療・介護用ロボット・技術について今後ますますその活躍が期待されています。
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