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現場経験を活かし、未来をつくる。ソーシャルグッド キャスト達の挑戦。

左上:森(変わる!介護)   左下:武石(おはなしやさん)   右上:高瀬(ファシリテーター)   右下:戸田(旅カフェ)

ファシリテーター        
高瀬比左子 
※紹介画面
未来をつくるKaigoカフェ代表


 

今回のインタビューでは、現場での経験を活かし、それをあらたな“独自の取り組み”へと発展させている3名にお話を伺いました。それに至る背景や現状、そして思い描く未来についてご紹介します。



―簡単に自己紹介をお願いします。


森 惣次郎
理学療法士 一般社団法人 変わる介護 代表理事

私は、一般社団法人「変わる!介護」という法人を立ち上げて、代表理事として活動しています。「変わる!介護」は“支えるケアからよくなるケアへ”を方針に挙げて、介護事業所や地域に向けて各種イベントや研修を行っています。


戸田 智
訪問介護事業所 介護福祉士/グローバルアドベンチャー代表

都内の訪問介護事業所に勤めながら“旅カフェ”というイベントを主催しております。これは将来実現したい“介護旅行”事業の為の取り組みでもあるのですが、旅をテーマに様々なゲストをお呼びして介護現場で働く方や高齢者等だけでなく対象者を限定せずに色々な方を巻き込んでおこなっています。


武石 紋世
グループホーム介護職/ボランティア団体「おはなしやさん」

現在はグループホームの介護職として働きながら、“おはなしやさん”の活動をおこなっています。“おはなしやさん”の活動はおじいちゃん、おばあちゃんと向かい合い“おはなしをきくこと”と“おはなしをすること”、ただそれだけです(笑)。とにかく会話を楽しむことを趣旨としています。あとは障害児の移動支援や家事保育支援などにも取り組んでいます。

 

森 惣次郎 [ 理学療法士 一般社団法人 変わる介護 代表理事]


ー現在の活動背景はどのような事でしょうか?


森(変わる!介護)
私は卒業後にヘルパーの資格を取って特別養護老人ホーム(以下、特養)で働いてましたが、“作業的”かつ“現状維持”のケアに常に違和感をもっていました。そのうち現状維持ではなくご利用者様の心身を良くすることに携わりたい!と強く思うようになり、仕事と並行して専門学校に4年間通い続けて、理学療法士を取得しました。

資格習得後は、介護施設を中心にデイケアや訪問、施設入所の利用者へリハビリ提供をおこなっておりましたが、リハビリ中はよくなっていくんですが、在宅に戻るとまた元に戻ってしまう、という経験が続いて。それで理学療法士だけではなく、介護現場の人でもリハビリができたら、という思いが「変わる!介護」の立ち上げ理由になっています。

                    

戸田(旅カフェ)
卒業後に特養に就職しましたが、森さんと同じようにやっぱり葛藤がありましたね。現場では、好きなことやっていいよという空気だったんですが、周囲はやはり現状維持の傾向が強く、知識経験のない私に教育・アドバイスもない1年半が続いて“ここではない”と感じて、別の高齢者施設で働き始めました。

そこで初めて利用者を施設の外へお連れする「外出支援」というものをさせてもらいました。寝たきりで全身不随の方でしたが、頭はしっかりされていて、大の野球好きで日米の野球を毎日見ている方でした。その方にある日「千葉のマリンスタジアムに野球を見に行きませんか?」という話をしたらとても喜んでくれて、2カ月間準備をして、それをかなえてあげることができたんです!その時の笑顔が忘れられず、人の生きがいになる仕事をしたい!と思ったのがきっかけで仕事を辞めました(笑)。

その後は、とにかくまずは世界を見よう!と思い、貯めたお金を全部使って世界中を周りました。述べ1年3カ月の間に40カ国を巡って、様々な経験をしてきました。

世界中を周った後も、明確な将来を描けず、夜間専従の介護の仕事をしながら合間で色々な勉強や自己啓発の時間に充てていましたが、ある日、高齢者や障害者の外出支援や旅行帯同の事業をされている方にひょんなことから出会えたんです。それが介護旅行事業をおこないたい!という夢の発見となり、旅カフェ開催などにつながっています。

                    

武石(おはなしやさん)
私が“おはなしやさん”をおこなうきっかけとなったのは大学2年の時の実習です。実習先の介護施設の現場がとにかく忙しく、利用者とまったく対話ができる状態でなかった。もっとお話を聞いてあげられたら良いのに「ちょっと待っててね」「後でね」というような対応ばかりでした。忙しことは重々承知でありましたが、、。私は実習生という立場だったので、時間ができたらお話をして、それをとても喜んでくれたのが嬉しかったですね。

その時の経験が、ボランティア団体「おはなしやさん」を始めたきっかけです。“おはなしをきくこと”と“おはなしをすること”は専門知識をもった介護職じゃない人でもできることであり、それであんなにも喜んでもらえるならば、ということで高齢者の方のお話し相手をするということを月1~2回、都内の色々な場所でおこなう活動を始めました。


 

戸田 智 [訪問介護事業所 介護福祉士/グローバルアドベンチャー代表]

―活動を通して感じたことはどのような事でしょうか?

森(変わる!介護)
まずは「ケアリハ」という介護職へのリハビリ指導をおこなう研修事業から始めることにしました。介護の中で、目に見えて効果がでるのは楽しくてやりがいになると思うんです。ただ、介護職の人はリハビリを業務の中に組み込むのが時間的な制約から難しいことも多いと思います。そこをうまくやりくりして、リハビリを介護に組み込むことができ、介護度を下げることにつなげていくようになれば、すごくやりがいにつながると思うんですよね。

理学療法士って個別に対応して良くするという発想が中心なんです。理学療法士はこうあるべきだ、とういものが植えつけられている面があるように思います。個別に対応してよくする、という流れはもちろん大切ですが、持っている技術を介護の現場の方々にわかりやすく伝えられる理学療法士がもっといても良いと思うんです。ですから、そういった人を増やしていく為に、まだまだ発信していく必要があると思っています。

                    

武石(おはなしやさん)
おはなしやさんの固定メンバーはいないのですが、メーリングリストに登録してもらっている会員は70人ぐらいいます。今課題に感じているのは、ボランティア活動している学生や若者は多いはずなのに、介護の分野には人がなかなか集まらないという点です。

イメージの問題が大きいと思うんですが、活動に参加してくださった方からは、「笑顔に癒されました」「認知症に悪いイメージしかなかったけど、考え方が変わった」「自分を孫のように可愛がってくれて頑張りなって声をかけてくれて嬉しかった」「一生懸命会話をしなくちゃと緊張していたけれど、隣に座って少し会話を交わしただけであったかい気持ちになって楽しくお話しすることができた」等の感想をいただいてます。

一人でも多くの人に参加して体験してもらえれば介護に対するイメージも変わるんじゃないかと思っています。「友達誘ってあれいこうよ」という風にしたいですね。

                    
  
戸田(旅カフェ)
現在の職場の話なのですが、勤務先の理事長はもともと他業界の経営者で3年前に脳幹出血を発症し半身不随から社会に復帰されました。そのご自身の体験から同じ様に病気や怪我で苦しんでいる人に対して還していけることはないかと、看護師と一緒に訪問看護の事業を立ち上げたそうです。私は訪問介護事業の方で勤めていますが、一緒に働いている理学療法士と介護旅行についてどのようにしたら実現できるかといったことを、頻繁に話しています。

旅カフェでは、旅をテーマにアーティストやカメラマンなどをゲストにむかえて開催していますが、その人の大切にしている生き方などに触れていただくことで、参加者に視野を広く持ってもらえるような場づくりを推進しています。どのような職場・活動であれ、柔軟な発想や思いが活かせて伝わるものであることが理想ですよね。


 

武石 紋世 [グループホーム介護職/ボランティア団体おはなしやさん代表]

―これからどのような事を実現していきたいですか?

森(変わる!介護)
今後は誰でもリハビリができる社会を創る「ケアリハプロジェクト」を中心に活動していく予定です。介護職とリハビリ専門職の両方を10年やってみて、気づいたのはリハビリとケア(介護)は繋げ合わせることが出来ることです。

介護現場でリハビリを行っていく上で、利用者が良くなっていく鍵は、リハビリ専門職の実力よりも、その周りで支援する介護職や家族がいかに生活リハビリや生活機能向上に向けた介助を行っていただけるかにつきると思います。

つまり、リハビリは専門職のみが実施するものではなく、関わるチーム・周囲皆で共有、実施できることが重要だということです。そこに特殊な技術は必要ありません。誰でもできるリハビリをいかに皆で持続提供できるかが大切になってきます。

その実現に向けて、「変わる!介護」では「ケアリハ」の資格認定制度を設けて全国の施設に発信・普及する予定です。すでに導入が決まっている事業所で特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、訪問美容サービスがあるため、順次研修を実施していきます。

「ケアリハ」を導入したことにより、介護職のみの介入でも利用者の生活機能向上は可能なのか、利用者・介護職のやりがい向上に繋がるのか、などをデータ化し、さらなる普及が出来たらと思っています。

                    

戸田(旅カフェ)
これからの高齢化社会と自分の未来についてのどちらにもワクワクしたものでありたいと思います。介護においては、自費サービスを事業展開出来るようなサービスのプロ集団を作ったり、人生の最後に行きたい場所に旅行したり、人生において大切にしてきたことを話せる場づくりなど、やってみたいことがたくさんあります。

今日もし人生の最後の日だとしたら、「目の前の人が喜んでくれるコト」を全力でやっておいてよかったなって思えるよう、人生を飛び回りたいと思います。

                    

武石(おはなしやさん)
現場での経験と、おはなしやさんでの活動を通して、多くの人に、特に私と同じ若者に、介護の魅力を伝えていきたいですね。一人でも多くの人に「おはなしやさん」の活動に参加していただき介護の世界に触れ、介護の仕事に興味を持ってくれる人達をこの先増やしていけたらいいなぁと。介護の仕事に興味があるけど、不安や疑問があって一歩踏み出せない人の背中を押せるような、あったかい活動を目指していきます。

そして、私自身は、目の前の方にとって、信頼してもらえる、安心してもらえる、この人と一緒にいると楽しいし頑張れる、と思ってもらえるような存在でありたい。仕事は楽しいけれど、なんで介護?って言われると、まだ考えてしまう自分がいる。介護の仕事って素晴らしい!って胸張って言えるよう、日々精進していきたいです!


 

高瀬[ファシリテーター]
インタビューを終えて
介護の仕事はすべてがつながっていて、生活すべての経験や知識が仕事に還元できる仕事、ということが改めてわかったように思います。また1対1のコミュニケーションから得られるもの、その大きさも実感することができました。私自身もとても参考になりました、本当にありがとうございました。