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最終更新日:2020/1/31

待機児童問題の最前線

待機児童問題が日本の大きな社会問題のひとつとなってきています。待機児童問題は、日本が抱えている保育士不足とも密接に関連していると言えます。この、待機児童問題とはどのようなものなのか、その現状や課題、原因。そして厚生労働省が待機児童問題を解消するために講じている対策についてみていきましょう。
 

日本の社会問題!?待機児童問題とは?

待機児童とは、保育が必要であると認定がされている子どもが保育施設へ利用の申し込みを行っているのにも関わらず、利用ができない状況の未就学児のことをいいます。共働きの家庭の増加、深刻な保育士不足の現状が、この待機児童の人数の増加、問題の解消が難しくなってまう状況に拍車をかけています。

厚生労働省発表の待機児童の人数は平成30年4月では19,895人となっています。ただ、育休中の保護者、求職活動の休止、特定の施設のみでの保育を希望、自治体が独自で財源支援を行っている施設に入所していたりする場合には、待機児童の人数には含まれておりません。これを「隠れ待機児童」といいます。この隠れ待機児童は平成29年度時点で約7万人との発表が出されています。
出典:都道府県別 待機児童数、隠れ待機児童数の一覧表
出典:保育所利用待機児童の定義/厚生労働省

 

待機児童問題の原因とは?

さて、どうして待機児童問題はここまで大きな社会問題に発展してしまったのでしょうか?主な原因として良くあげられる、共働き世帯の増加と保育士不足という2つの観点からみていきましょう。

まず待機児童問題の原因のひとつに、共働き世帯の増加があります。厚生労働省のデータをみると、2013年から2018年までの過去6年間だけでも、女性の就業率が約67%から約74%に上昇していることがわかります。このデータから、専業主婦の世帯が減り、共働き世帯が増えたということがわかります。これにより、保育施設の需要が以前より高まりました。また、共働き世帯の増加と同時に保育士不足が深刻化していることも待機児童問題に拍車をかけています。

保育士自体の全体人数は少しずつ増えてきてはいますが、離職率の高さなどから増加している保育需要に対して保育士の数を確保できないという現状に陥っています。保育施設には定員数や保育士の配置基準があります。しかも、子どもの受け入れ数にも限りがあるため、保育施設に入園をしたくてもできない子どもが増える一方となっていると考えることができます。
出典:男女共同参画白書(概要版)平成30年版 / 内閣府男女共同参画局
出典:登録された保育士と勤務者数の推移/厚生労働省

 

待機児童問題の対策、解決策とは?

待機児童問題に対し、厚生労働省では対策、解決策を打ち出しています。それは、どのようなものなのでしょうか。厚生労働省は待機児童問題の解消に向けて、保育士の確保に力を入れています。従来の4つの対策と、それに加え新たに実施されている対策についてみていきましょう。

(1)人材育成
 ・保育士資格を取得しやすくするための取り組みを実施する。
 ・保育士の魅力を伝えることで、保育士を目指す
 ・国家資格としての保育士の専門性の向上
指定保育士を養成するための施設を受講するための費用支援や、保育士を目指すための勉強に必要な費用を貸付する制度を設けることなどで、保育士資格を持っていない人たちに対しての就業支援を行います。また、費用面などから保育士になるためのハードルを下げるなどによって、保育士になる人を増やしたいという狙いも持っています。

(2)就業継続支援
 ・離職防止のために行う研修支援
 ・就業継続を図るために各種助成金の活用及び促進
保育士を対象に研修を行ったり、研修をを行うにあたらい現場に一時的に必要になる代替職員の確保などを行います。これらを通して保育士の離職を防止したり、保育士が長く仕事を続けられるように支援をすることが目的となります。

(3)再就職支援
 ・保育士及び保育所支援センターの積極的な活用を促進
 ・保育士マッチングプロジェクト
潜在的な保育士に対して再就職のための相談窓口を設けたり、就職の斡旋を行ったりして、再度保育の現場に戻ってもらえるように支援をします。ブランクがあり現場復帰に不安を持つ潜在的な保育士のために、実技による講習も行い、再就職をフォローします。

(4)働く職場の環境改善
 ・処遇改善
 ・雇用管理改善を図るための取組の実施
 ・保育所等との保育士、保育所支援センターとの連携強化
保育士が働きやすい現場づくりを促すために、保育園の管理者を対象にした研修などを行います。また、職場環境改善の過去の好事例集や雇用管理の状況を把握するためのチェックリストを作成するなど、保育園を取り仕切る園長への意識改革や周知が狙いとなっています。

上記の4つの対策に加えて、新しく実行されている対策は以下のようなものがあります。
・保育士の経験、勤続年数に対する処遇改善の実施
・学生に対する保育所への就職促進支援を、指定保育士養成施設で実施
・保育士試験受験のための学習費用の支援
・福祉系国家資格保有者に対しての保育士試験科目等の一部免除の検討
・離職した保育士への再就職支援の強化
・保育士試験を年2回の実施の推進

これらの実施により、保育士を目指す方達が、より保育士になりやすい環境が整備され、今、保育士の方達に対してはさらなる処遇の改善が図られます。また、離職した保育士に対しても、現場への復帰がよりしやすくなるよう、環境改善のための解決策が講じられています。

 

待機児童問題対策の効果

2013年からの5年間で、政府の目標である受け皿を50万人拡大するという目標に対して、実績として53.5万人の拡大を達成することができました。このような背景から、2018年度の待機児童は前年比で6,186人の減少、10年振りに2万人を切ることに成功しました。

待機児童問題とは何なのかということを概要から原因、現状、対策について解説しました。問題解消に向けて、厚生労働省や自治体はさまざまな解決策を考案、実施しており、10年ぶりに2万人を切るなど少しずつ解消に向けて前へ向かっています。保育士や児童の受け皿不足などの課題がひとつずつ解消され、待機児童問題の完全な解決ができることを期待しましょう!